渓の不思議-4幻の大岩魚   くずれ沢、そしてV沢で

この記事は以前「特集」で書いたものでしたがリクエストが
あったので修正復活です。

2005年の事、この年は釣り人生で最も記念すべきシ
ーズンである。だってね尺岩魚を6匹も釣ったんだって
ダッテ伊達・・・。*/

全く予想外で恐らくそんなシーズンは二度と訪れない
に違いない。実際2009年は一匹だけ。

更に忘れられない出来事があった、くずれ沢のボサ下
岩魚ポイントでの事。そこは落ち込みの丸いプールで
木の枝がか覆いかぶさっている、釣りずらいせいか数
匹の岩魚が遊んでいたし釣れもした。

その年の6月にくずれに入った時の事だが日記には書
いていない、何故かというと「大物を見た」などと書いて
も仕方ないと思ったからである。そして、それがあまり
にも大きかったからでもある。
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その大岩魚は全く浮き上ることなく水面から50cmく
らいの所でじっとしていた、毛鉤を打ちこんでも全く感
じていない。
5分ほどすると身をひるがえして見えなくなるが、少
しするとまた同じ位置に戻ってピタリと動かなくなる。

そしてまた同じように身をひるがえして見えなくなる、
それを何度と無く繰り返すのだ。
50cmほどははあるが太さがまた太く、まるで鯉の様
な見事な魚体で見入ってしまっていた。

その太い胴の上部、背鰭の右側が5cm程の幅で10
cmくらい青く光っているのだ。想像だが、老いた為に
その部分の鱗が反るようになって光っているのではな
いだろうかと考えられた。
暫く見入っていたが釣りの対象では無いのだと、これ
こそ主なのだとの思いで引き上げた。
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そして同じ時期に、全く同じ事がV沢で起ったのである。

そこも又岩魚が何匹も居た小滝の下のプールであった、
こちらの方が淵は大きく深い。

1mほどの深さで岩影近くにじっとしている大岩魚を発
見した時、その大きさ以上に驚いたのは同じ位置の鱗
が同じように青く光っていたのだ。

大きさといい太さといい、背鰭の右側が光っている事ま
でも同じなのだ。そしてその行動も、5分間隔くらいで
回遊してはピタリと同じ位置に戻る。
そしてそれを繰り返すのである。
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くずれ沢の大岩魚はその後にもう一度確認したが、V
沢の方はたった一度だけで姿を消してしまった。

どちらのポイントでもその後に尺岩魚を釣っている、しか
しどちらのポイントも二年後にはほとんど岩魚は姿を消
してしまった。

じっとしていて、ある時にスッっと移動し同じ場所に戻
る、5分ほどしてまた移動して戻る。この繰り返しが老
いた大岩魚の末期の行動のようだ。

大物を見た、なんて言う話は良くある事で本人ほどに
は感じられない事柄でしょう。しかし目の前で、それも
二箇所で同じような大物に遭遇した其の事は忘れら
れない事件だったのだ。
2008.3/22 (2011.3/27)

其の五、お初の渓
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